カミングアウトの是非
LGBTであることをカミングアウトする人が増えています。
社会的にLGBTの存在がある程度認知されてきたことがその背景にあると思われます。
一言でカミングアウトといっても、その態様はいろいろなものがあります。
カミングアウトする相手が、①親しい友人だけに限られる場合や家族に限定される場合など、自分の周りのごく一部の人にだけカミングアウトするパターン。 ②職場などに対しても広くカミングアウトするパターン。など。
それぞれの環境に応じて、またカミングアウトする必要性に応じて、カミングアウトの範囲を決めているようです。
今回は、職場などへの「社会的なカミングアウト」ではなくて、友人や家族に対しての個人的なカミングアウトについて書きます。
さて、『カミングアウト』をすることが正しいのか悪いのか?
実は非常に難しい問題です。
LGBT当事者自身の心の問題としては、カミングアウトしたことで、隠し事が減り、「スッキリした」という方がほとんどだと思います。
カミングアウトは相手に対して一方的に行うものですが、それを受けた相手にとってはどうなのでしょうか?
実はこれがとても大きな問題なのです。
カミングアウトの相手の反応によって、「カミングアウトに失敗した」とか「カミングアウトしなければよかった」という場合もあります。
突然、思いもよらぬカミングアウトを受けた相手が、どのような反応をするのか。それをよく見極めることも重要なのです。
しかし、これはとても難しいことで、カミングアウトする人は、相手を信じるか、最悪の結果を覚悟するかしてカミングアウトしていることでしょう。
中には、話の流れで、勢いでカミングアウトしてしまったという場合もあるようです。割と、親しい友人に対してはこういうパターンが多いですね。
家族(特に親)に対しては、結婚適齢期にカミングアウトをするという場合が多いようです。
カミングアウトにより生じる最悪のパターンとしては、①相手に拒絶される ②相手にだけカミングアウトしたのに秘密をばらされる ③相手に相当な精神的ダメージを与えてしまう というものが挙げられます。
カミングアウトする方としては、勇気をふりしぼって相手に直球勝負で挑んでいるような状態なのですが、カミングアウトを受ける方としては、心の準備ができていない時に、いきなりの告白に大きく戸惑ってしまうことでしょう。
カミングアウトは、相手の精神的な状態と、カミングアウト後のフォロー、受け入れの許容範囲などを事前によく確かめてから行う必要があります。
上手にカミングアウトする人は、時間をかけて、相手に「もしかしたら・・・」という気持ちを抱かせるような状況を作っておいて、煮詰まったであろう時点で実行に移すというパターンを使っているようです。
相手が「もしかしたら・・・」という気持ちを持つに至った時点で、カミングアウトした後に良好な関係を保ち続けることができるかどうかを、ある程度予測できるようです。
その時に、関係が悪くなることが予想されれば、その相手にカミングアウトするのを止めておくというのも一つの方法です。
私は、カミングアウトが必ずしも『善』であるとは言えないような事例も多く見てきました。
カミングアウトしたことを酷く後悔してしまった人が少なからずいらっしゃいます。
もちろん、逆にハッピーになった人も多くいます。
LGBTであるということは、決して悪いことではありません。ありのままの自分で相手に接したいと思う気持ちはとても大切だと思います。
相手のことを想えば想うほど、本当の自分を知ってほしい、嘘をつきたくないという気持ちになります。
しかし、それと同時に、大切な相手を傷つけたくないという気持ちも。。
カミングアウトは、告白の瞬間より、その後が肝心です。
自分と相手にとって良いカミングアウトになるか否か、カミングアウトの是非について、事前によく考えておかなければなりません。
少なくとも、カミングアウトする前に本音を語り合えるような関係を築いておく必要があるでしょう。
この国に、もっともっとLGBTに対する正しい認識が広がり、カミングアウトし易い社会になっていくことを願うばかりです。そのためには、LGBT当事者・支援者による権利擁護運動を絶えず推進していくことが重要です。
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